単語帳なら意味を答えられる。英文を読めば「この単語、知っている」とわかる。それなのに、自分が話す番になると出てこない。
そんなときは、覚えた単語を増やすことに加えて、自分が使う場面から、その単語を思い出す練習を取り入れてみましょう。
この記事では、知っている英単語を会話で使うために、音・意味・使う場面を確認し、自分の例文を作って声に出す方法を紹介します。1日10分の進め方、10語の例文、復習シートまで、そのまま練習に使える形でまとめました。
10分は続けるための目安です。すべての単語がすぐ口から出るという約束ではありません。一度に扱う量を減らして、実際に使えたかを確かめていきます。
「意味がわかる単語」と「会話で使える単語」は、練習の向きが違う
単語帳でよく行うのは、「英単語を見る → 日本語の意味を答える」という練習です。一方、会話では「伝えたいことがある → 表現を選ぶ → 文にして話す」という流れが必要になります。
どちらも大事ですが、入り口が異なります。
| 練習の入り口 | 例 | 確かめられること |
|---|---|---|
| 単語を見る | available → 空いている・利用できる | 意味を認識できるか |
| 場面を思い出す | 明日の午後なら時間がある、と伝えたい | 使う表現を選べるか |
| 声に出す | I’m available tomorrow afternoon.アイム アヴェイラブル トゥモロウ アフターヌーン | 文の形と音を取り出せるか |
「知っているのに使えない」は、これまでの勉強が無駄だったという意味ではありません。覚えた単語に、使う場面と思い出す練習を足すと考えてみてください。
例文を作る前に、確認したい3つのこと
1.今回使う意味に絞る
一つの単語には、複数の意味や使い方があります。最初からすべてを使おうとせず、今日の自分に必要な意味を一つ選びます。
たとえば available なら、「この商品は購入できる」と「私はその時間に空いている」では使う場面が違います。自分が日程調整をよくするなら、まず後者から練習しましょう。
2.よく一緒に使う形まで確認する
単語の意味だけで文を作ると、前置詞や後ろに続く形で迷うことがあります。辞書の例文で、短いまとまりまで確かめてください。
- decide to …:〜することに決める
- explain … to 人:人に〜を説明する
- recommend 名詞 / recommend …ing:〜をすすめる
ここでは自分の一文に必要な形を確認できれば十分です。用法を全部暗記してから話し始める必要はありません。
3.音も一緒に確かめる
自分が声に出す単語は、辞書音声や信頼できる教材で発音も確認します。綴りを見て音を推測するだけで終えず、どこが強く聞こえるか、文の中でどうつながるかにも少し注意を向けましょう。
01
使う意味を選ぶ
今日の自分に必要な意味と、
単語の音を確認する。
02
自分の場面に変える
人・時間・場所を変え、
本当に使う一文を作る。
03
見ずに思い出す
英文を隠して、場面から
声に出せるか確かめる。
例文を読むだけで終わらず、思い出す機会を作りましょう。
1日10分の例文トレーニング
最初は、今日か明日に使いそうな単語を1〜3語選びます。以下は2語を練習する場合の目安です。時間が足りなければ1語に減らして構いません。
| 時間の目安 | すること | 終わりの目安 |
|---|---|---|
| 0〜2分 | 意味・音・使う形を確認 | 今日使う意味が一つ決まる |
| 2〜5分 | 自分の場面で短い例文を作る | 本当に言いそうな一文ができる |
| 5〜8分 | 英文を隠して思い出し、声に出す | 場面から一度は文を取り出す |
| 8〜10分 | つまずきを直し、次回の手がかりを残す | 次に確認する内容がわかる |
ステップ1|単語より先に「使う場面」を決める
「prefer を覚える」だけでなく、「打ち合わせで、午前より午後がいいと伝える」のように、相手と用件を決めます。
場面が思いつかないときは、今日の予定、最近困ったこと、次の英会話で話すことから選んでみてください。自分に関係のない難しい文を作る必要はありません。
ステップ2|本当に言いそうな短い一文を作る
たとえば、次のように変えます。
単語:prefer
場面:次のレッスンは、朝より夜がいい
自分の一文:I prefer evening lessons.アイ プリファー イーヴニング レスンズ
そのまま使える辞書の例文があれば、それを土台にしても構いません。人・場所・時間・物のどれかを変え、自分の場面に近づけましょう。
複雑な文を作ったのに意味があやふやな場合は、文を短くします。自分で作った英文は、辞書や講師などで使い方を確かめてから練習すると安心です。
ステップ3|英文を隠して、場面から言ってみる
例文を何度も読むだけで終えず、英文を隠します。「夜のレッスンのほうがいい」と伝える場面を見て、声に出してみてください。
出てこなければ少し見て、もう一度隠して試します。見ずに言えるかを確かめることが、この練習の中心です。
目標の単語を使わず、別のやさしい表現で伝わった場合も、会話としては大事な成功です。そのうえで、今回は練習したい単語の文も一度取り出してみましょう。
ステップ4|一部分を変えて、もう一度使う
一文が言えたら、単語を増やす前に内容を少し変えます。
- I prefer evening lessons.アイ プリファー イーヴニング レスンズ(夜のレッスンのほうが好きです)
- I prefer online lessons.アイ プリファー オンライン レスンズ(オンラインのレッスンのほうが好きです)
- Do you prefer morning lessons?ドゥー ユー プリファー モーニング レスンズ(朝のレッスンのほうが好きですか)
「昨日の一文を覚えている」から、「別の場面でも選べる」へ、少しずつ練習を広げます。
そのまま練習に使える10語と例文
全部を今日覚える必要はありません。自分が使いそうなものを一つ選び、例文の内容を変えてください。
1.available|時間が空いている
I’m available after three.アイム アヴェイラブル アフター スリー
3時以降なら時間が空いています。
変えてみる: after three を tomorrow morning や on Friday に。仕事やレッスンの日程を調整する場面を想像しましょう。
2.prefer|〜のほうを好む
I prefer tea to coffee.アイ プリファー ティー トゥー コーフィー
コーヒーより紅茶のほうが好きです。
変えてみる: 二つの飲み物や移動手段を、自分の好みに置き換えます。「どちらがいいか」と聞かれたときの答えとして練習します。
3.decide|決める
I decided to study before breakfast.アイ ディサイディッド トゥー スタディ ビフォー ブレックファスト
朝食の前に勉強することにしました。
変えてみる: study before breakfast を、本当に決めた行動に変えます。decided to のあとには動詞の原形が続くことも確認しましょう。
4.need|必要とする
I need a little more time.アイ ニード ア リトル モア タイム
もう少し時間が必要です。
変えてみる: 仕事の返事、レッスン中の考える時間など、相手に時間をもらいたい場面で使います。何のための時間かを、短い一文で足しても構いません。
5.finish|終える
I finished the report this morning.アイ フィニシュト ザ リポート ディス モーニング
今朝、レポートを終えました。
変えてみる: the report を my homework や the book に。実際に終わったことを選び、時間も合わせて変えます。
6.bring|持ってくる・持っていく
I’ll bring my notebook to the lesson.アイル ブリング マイ ノウトブック トゥー ザ レスン
レッスンにノートを持っていきます。
変えてみる: 持っていく物と場面を変えます。bring と take は移動の視点にも関わるため、迷ったら辞書の例文や講師に確認しましょう。
7.forget|忘れる
I forgot to charge my phone.アイ フォーガット トゥー チャージ マイ フォウン
スマートフォンを充電するのを忘れました。
変えてみる: charge my phone を、実際にし忘れた行動へ。forget to … と、したことを忘れる場合の形は異なるので、今回は「し忘れる」の形に絞ります。
8.explain|説明する
Could you explain this word to me?クッド ユー イクスプレイン ディス ワード トゥー ミー
この単語を説明してもらえますか。
変えてみる: this word を this rule や the difference に。誰かに説明を頼む場面で使い、explain … to me のまとまりまで練習します。
9.recommend|すすめる
Can you recommend a book for beginners?キャン ユー レカメンド ア ブック フォー ビギナーズ
初心者向けの本をすすめてもらえますか。
変えてみる: 本、映画、学習教材など、自分が本当に知りたいものへ。recommend me to … のように日本語の語順をそのまま当てはめず、例文で形を確認します。
10.manage|なんとか〜する
I managed to study for ten minutes today.アイ マニッジド トゥー スタディ フォー テン ミニッツ トゥデイ
今日はなんとか10分勉強できました。
変えてみる: 忙しい中でできたことを入れます。ここでの manage to … は「なんとか〜する」の意味。会社などを「管理する」という意味とは分けて練習しましょう。
書き写して使える「使う単語」シート
単語だけのリストに、使う場面と、英文を隠したときの手がかりを加えます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 今日の単語と意味 | available:時間が空いている |
| 誰に、いつ使う? | 講師に、次回の日程を伝える |
| 伝えたいこと | 金曜の午後なら空いている |
| 確認した英文 | I’m available on Friday afternoon.アイム アヴェイラブル オン フライデイ アフターヌーン |
| 英文を隠すときの手がかり | 次回の日程調整/金曜の午後 |
| 次の確認で困ったこと | on が出てこなかった |
| 実際に使えた場面 | 次のレッスン後に追記する |
復習では、最初から英文を読まないようにします。「誰に、何を伝えるか」の欄を見て、口に出したあとで答えを確認してください。
復習は、翌日から少し間を空けて
同じ日に何度も読めたことだけで、定着したと判断しないようにしましょう。少し時間を空けて、場面から思い出せるかを確かめます。
たとえば、次のような予定なら始めやすくなります。
| いつ | 確かめること |
|---|---|
| 翌日 | 英文を隠し、昨日の場面から言えるか |
| 3日後 | 時間・人・物を一つ変えて言えるか |
| 1週間後 | 別の質問への答えや、実際の会話で使えるか |
これは復習日を決める一例です。最適な間隔は、単語や覚え具合によって変わります。すぐ忘れるものは早めに、何度も使えているものは少し間を空けるなど、調整してください。
出てこなかった単語に印をつけ、次の10分で扱います。全部を最初からやり直す必要はありません。
会話で出てこなかったときの扱い方
実際の会話では、練習どおりに言えないこともあります。その場では、知っている別の表現で伝えたり、短く言い換えたりして構いません。
終わったあとに、「あの場面で何と言いたかったか」を一文だけ残しましょう。それが、次に練習する例文になります。
単語を使うこと自体が目的になって、話したい内容から離れてしまわないようにしましょう。自分に必要な表現を、必要な場面で選べることを目指してください。

よくある質問
例文は自分で作ったほうがいいですか?
自分で作ると使う場面を決めやすい一方、文が不自然になることもあります。初心者は辞書や教材の例文を土台にして、人・時間・物を変える方法でも十分です。必要に応じて、講師などに意味と使い方を確認してもらいましょう。
日本語を見て英語にするだけでもいいですか?
入り口の練習として使えます。ただし、一つの日本語に一つの英文だけを対応させると、少し違う質問に答えにくいこともあります。慣れたら、場面のメモや相手の質問から答える練習も加えてみてください。
単語帳の勉強はやめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。単語を知る練習に、使う場面から取り出す練習を足しましょう。今の単語帳から使いそうな1語を選べば、新しい教材を増やさずに始められます。
今日の1語を、自分の一文にする
会話で使う練習は、難しい英文を大量に作ることから始めなくて大丈夫です。
今日の予定や次のレッスンを思い浮かべ、使いそうな単語を一つ選ぶ。意味と音、使う形を確かめる。自分の短い一文を作ったら、英文を隠し、場面から思い出して声に出す。
この流れを、まずは10分の中で試してみてください。
参考資料
- British Council TeachingEnglish:Remembering vocabulary — 語彙を使うこと、思い出すこと、個人に関係のある例文や復習について。本文の10分メニューと復習シートは当記事で作成した実践例です。
01
一語に絞る
会話で使いたかった単語を、
一つ選んで意味を確認。
02
状況を一つ決める
誰に、何を伝えたいか。
自分の短い例文を作る。
03
時間を空けて言う
翌日にも英文を隠して、
場面から思い出してみる。
言えなければ見直して大丈夫です。次の練習に戻しましょう。
自分に合った学習の順番を、
ここから。
単語の練習を会話につなげるには、ほかの勉強とどう組み合わせるとよいか。学習全体の進め方も見直してみましょう。
ライブ授業「英語学習の新常識」では、言葉が出てこない理由や、自分に合う学び方など、英語学習を5つの視点から見直します。


















