英語の返り読みを減らしたいなら、文を意味のかたまり(チャンク)に分け、きれいな日本語に整えず、左から右へ意味を受け取っていく練習が役に立ちます。この方法をチャンクリーディングと呼びます。1文ずつ丁寧に訳す読み方を否定するのではなく、「前から意味をつかむ」練習を別枠で行うのがコツです。

長文を読むとき、文の最後まで読んでから、頭に戻って日本語に訳し直している。リスニングでは、その作業が間に合わなくて置いていかれる。もしあなたがそう感じているなら、この記事の練習を試してみてください。

この記事では、返り読みが起こる理由、チャンクの切り方、そして自作の練習文8つを使った段階別ワークを、答えと解説つきで紹介します。

返り読みは、なぜ起こる?

返り読みとは、英文の後ろから前へ視線を戻して、日本語の語順に組み立て直しながら読むことです。たとえば、次の文を見てください。

The book that I borrowed from my colleague was easier than I expected.

「その本は」「私が同僚から借りた」「思ったより易しかった」のように、前から順に受け取る読み方があります。ところが、文末の was easier から逆算して「私が同僚から借りたその本は、思ったより易しかった」と訳そうとすると、視線が行ったり来たりしてしまいます。

返り読みが起こりやすい理由として、次のようなことが考えられます。

  • 「正しい日本語に訳さないと理解できていない」と思っている。 訳の完成度が気になり、先に進めないことがあります。
  • 日本語の語順(主語・目的語・動詞の順)に直さないと落ち着かない。 英語は動詞が早い位置に出てきますが、日本語は文末に来ます。
  • 文の構造を、文末まで見てから決めている。 先を見る癖があると、前から意味を受け取る余裕がなくなります。

丁寧に訳そうとして戻ることもあれば、単語や文の構造が分からず読み直すこともあります。そのため、悪い癖と責める必要はありません。ただ、リスニングでは音声が止まってくれないので、前から意味をつかむ別の練習が必要になります。

チャンクリーディングとは? 「全部にスラッシュ」ではない

チャンクとは、意味のまとまりのことです。チャンクリーディングでは、文を意味のまとまりごとにスラッシュ(/)で区切り、左から右へ、一つずつ意味を受け取ります。

ここで気をつけたいのは、「to や前置詞が出てきたら、とにかくスラッシュを引く」というルールにしないことです。たとえば、次のような機械的な区切りは、かえって読みにくくなります。

I went / to / the station / with / my friend.

「to the station」「with my friend」は、それぞれ一つのまとまりとして読めます。前置詞だけを切り離すと、意味のまとまりが壊れてしまいます。区切りの基準は、品詞ではなく「意味が一つに収まるか」です。

POINTS AT A GLANCE意味を前から積み上げる

01

英文を区切る

The book / that I borrowed …

02

前から受け取る

その本は → 私が借りた

03

意味をつなぐ

was easier → 易しかった

04

必要なら確認

読み終えてから構造を見直す

区切る位置を考えるときの目安は、次のとおりです。ただし、これは絶対のルールではなく、迷ったときの手がかりです。

  1. 主語が終わって、動詞が始まるところ。 主語が長いときは、その終わりで区切ります。
  2. 接続詞や関係詞の前。 that、because、if、when などの前は、意味が切り替わる位置になります。
  3. 意味が独立した前置詞句の前。 「at eight」「after lunch」のように、時間や場所を付け足す表現の前です。
  4. 目的などを付け足す to不定詞の前。 「She went out / to buy milk.」のように、独立した意味を足す to は区切れます。一方、「decided to stay home」のように動詞と一体になっている to は、切らずにひとまとまりで読みます。

返り読みを減らす3つの原則

1. 日本語は、前から順に「訳し下げ」る。 英語のまとまりを順に受け取り、「〜が / 〜して / 〜ので」のように、順番どおりに意味を並べます。完成した日本語の文にする必要はありません。

2. 区切りは、少しずつ減らしていく。 最初は丁寧に区切り、慣れたら主要な区切りだけにし、最終的には頭の中で区切ります。スラッシュは練習用の補助具で、一生使い続けるものではありません。

3. 確認のための読み返しは、否定しない。 大事なのは、「最初の1回は前から読む」ことです。そのうえで、契約書や試験問題など正確さが必要な場面で、あとから戻って確認するのは普通のことです。問題になるのは、毎回文末から訳し始める習慣のほうです。

英文を意味のまとまりで区切って読む練習
英文を意味のまとまりで区切って読む練習。

段階別ワーク:自作の練習文8つ

ここからは、練習用に作った8つの文を使います。まず、各文を自分でスラッシュで区切り、前から意味を取ってみてください。答えと解説は、すべての問題のあとに載せています。

【Level 1:短い文】

  1. My sister called me yesterday.
  2. I’ll send the file after lunch.
  3. The shop near the station closes at eight.

【Level 2:接続詞・関係詞が入る文】

  1. I forgot to tell you that the meeting has been moved to Friday.
  2. She decided to stay home because it was raining heavily.
  3. The book that I borrowed from my colleague was easier than I expected.

【Level 3:少し長い文】

  1. If you have time tomorrow, could you check the report before it goes to the client?
  2. What surprised me most was how quickly the team found a solution.

答えと解説

1. My sister / called me / yesterday.
姉は / 私に電話をかけてきた / 昨日。
主語・動詞・時間の3つに分かれます。短い文は、無理に区切らなくても構いません。

2. I’ll send the file / after lunch.
ファイルを送ります / 昼食のあとで。
「after lunch」は付け足しの情報なので、ここで一度区切ります。

3. The shop near the station / closes / at eight.
駅の近くの店は / 閉まる / 8時に。
「near the station」は shop を説明するので、主語のまとまりに含めます。ここで near の前に切ると、shop だけが取り残されます。

4. I forgot to tell you / that the meeting has been moved / to Friday.
お伝えし忘れました / 会議が変更されたことを / 金曜日に。
「forgot to tell you」の to は、動詞とすぐ結びつく to です。切らずに一つのまとまりにします。that の前は、意味が切り替わる位置です。

5. She decided to stay home / because it was raining heavily.
彼女は家にいることにした / 雨が強く降っていたので。
because の前で区切ります。「decided to stay home」は意味が一つなので、to の前では切りません。

6. The book / that I borrowed from my colleague / was easier / than I expected.
その本は / 私が同僚から借りた / 易しかった / 思ったより。
関係詞 that が book を説明している文です。「同僚から借りた」で一度止まり、「その本が易しかった」とつなげます。返り読みしたくなる典型的な形ですが、前から順に受け取れば十分です。

7. If you have time tomorrow, / could you check the report / before it goes to the client?
もし明日時間があれば / 報告書を確認してもらえますか / お客様に出す前に。
If のまとまり、依頼のまとまり、before のまとまりの3つに分かれます。

8. What surprised me most / was how quickly the team found a solution.
私が一番驚いたのは / チームがとても早く解決策を見つけたことだった。
What で始まる主語のまとまりが長い文です。後半の how quickly 以下も、一つの内容として受け取ります。

答えは一つに決まるものではありません。「/」の位置が少し違っても、意味のまとまりとして自然に読めていれば問題ありません。

ミニ実演:文6を、自分の頭でたどってみる

最後に、返り読みしたくなる6番の文を、前からたどる流れで見てみましょう。

  1. The book → 「その本は」と受け取り、まだ続きを待つ。
  2. that I borrowed from my colleague → 「私が同僚から借りた」と、本を説明する内容を足す。
  3. was easier → 「易しかった」と、ここで文の中心がつながる。
  4. than I expected → 「思ったより」と、最後に比べる内容を足す。

頭の中で組み立てた日本語は、「その本は、私が同僚から借りた、易しかった、思ったより」というぎこちない形です。それで構いません。意味が前から順に積み上がっていることが大切で、日本語の文としての仕上げは、必要なときに別の作業として行えば十分です。

読む力は、聞く力にどうつながる?

リスニングでは、音声が前へ前へと進みます。文末まで聞いてから意味を組み立て直す余裕は、あまりありません。前から意味を受け取る練習をしておくと、聞くときにも「ここまでの意味」を積み上げながら進めやすくなります。

ただし、読む練習をしただけで、聞き取りが自動的に楽になるわけではありません。音が聞き取れていない部分は、音の面から別に練習する必要があります。チャンクリーディングは、あくまで「意味を前から受け取る」部分を鍛える練習と考えてください。

後ろへ戻る回数を減らし、前から意味を受け取る読み方
後ろへ戻る回数を減らし、前から意味を受け取る読み方。

「全部に引かない」ことを練習する

8文を終えたら、同じ文をもう一度、スラッシュなしで前から読んでみましょう。次の3段階で進めると、少しずつ区切りが減っていきます。

  1. 全部引く: 上の答えのように、意味のまとまりごとに引く。
  2. 主要な区切りだけ引く: 文を2つに分ける位置だけ引く。
  3. 引かずに、目だけで区切る: 頭の中でまとまりを意識しながら読む。

3段階目でうまくいかなかったら、2段階目に戻って構いません。戻ることは、後退ではありません。

1日10分のメニュー

  1. 0〜2分: 短めの英文を1文選び、スラッシュを引く。
  2. 2〜5分: 前から日本語で意味を言う(訳し下げ)。まとまりごとに声に出す。
  3. 5〜8分: 同じ文を、スラッシュなしで前から読む。
  4. 8〜10分: 確認のために、文全体を読み返してよい。意味が合っているか確かめる。

練習する文は、手元の教科書や、読みやすい英語の記事、ニュースの短い一節などで構いません。1日1〜2文でも、続けられる量から始めましょう。

よくある失敗とその直し方

1. 前置詞のたびにスラッシュを引く。 前置詞だけ切り離すと、意味が拾いにくくなります。前置詞と名詞はひとかたまりで読みましょう。

2. きれいな日本語を完成させようとして止まる。 日本語の文として美しくなくて構いません。「姉は / 電話してきた / 昨日」と並べるだけで十分です。

3. 難しい文から始める。 最初は、短くて構造が単純な文で練習します。一度成功した感覚があると、長い文にも挑戦しやすくなります。

4. 確認の読み返しを「禁止」と考える。 一度前から読んだあとに、確認のために戻るのは問題ありません。最初から読み返しを完全にやめる必要はありません。

参考にした資料

例文と練習手順は、この記事用に作成しています。

まとめ:前から意味を受け取る練習を、少しずつ

返り読みは、真面目に正確に読もうとする気持ちから生まれる癖です。チャンクリーディングは、意味のまとまりごとに前から読む練習で、リーディングにも、リスニングにもつながります。

  • 区切りは、意味のまとまりで決める。 前置詞やtoの前で機械的に引かない。
  • きれいな和訳は目標にしない。 訳し下げで十分。
  • スラッシュは減らしていく。 全部引く→主要だけ→頭の中で、の順に。
  • 確認の読み返しは、してよい。 最初の1回を前から読むことが大切。
POINTS AT A GLANCE今日のポイントを振り返る

01

区切りをつける

意味がまとまる位置を選ぶ

02

前から意味を取る

完成した和訳は後から

03

区切りを減らす

慣れた文はスラッシュなしで

04

理解を確認する

不明な語・構造は見直す

まずは、今日読む英文を1文選び、意味のまとまりに分けてみてください。

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