英語のRとLは、どちらも日本語のラ行に置き換えると区別しにくくなります。まず、Lは舌先付近を上の歯茎に接触させて空気を横へ通し、Rは同じ接触を作らずに舌の形を調整するという違いを押さえましょう。
ただし、Rを出す方法は「必ず舌先を巻く」の一種類ではありません。舌の形には話者差があり、RやLの実現には方言差もあります。自分に合わない形を無理に押し付けず、音声を聞いて、口の動きと聞こえ方を少しずつ対応させることが大切です。
この記事では基本の口の動きと、ミニマルペア10組を使う練習を紹介します。例と練習文は自作で、音声は添付していません。聞き分けには辞書などの各語に対応した音声を使い、別の英文の音声で答え合わせをしないでください。
ミニマルペアは「一つの音の違いで別の語になる組」
lightとrightのように、一つの音の違いで意味が変わる語の組をミニマルペアと呼びます。RとLを練習するときは、意味も確認したうえで二語を比べます。音だけを何となく繰り返すより、どちらを伝えたいかを意識できます。
例えば「明かり」と「右」を日本語で整理し、それぞれlight、rightに対応させます。さらに短い文で使うと、発音の練習を実際の意図につなげられます。日本語を使って意味を確かめることを避ける必要はありません。
ただし、意味から答えを推測できたことと、音を聞き分けたことは別です。聞き分け練習では、まず音を聞いて選び、その後に意味やつづりを確認します。文脈が役立つ場面と、音だけを丁寧に比較する場面を分けましょう。
Lは、日本語のラ行のように一瞬はじくだけではない
Lの基本を試すときは、舌先付近を上の前歯の後ろにある歯茎のあたりに軽く触れさせます。中央付近は閉じていますが、空気は舌の横側を通ります。声を出しながら、短く保てるか試してください。
日本語のラ行に多い、舌が一瞬触れてすぐ離れる弾き音とは、空気の通り方や接触の保ち方が違います。Lを毎回短くはじくと、狙った音とずれる場合があります。「ラ」と言い切る前に、母音を足さず/l/の部分を意識してみましょう。
ただし、舌を強く押し付ける必要はありません。力みで空気を止めすぎているなら、接触を軽くします。舌先を確認するための練習と、単語を自然に話す動きは分け、単語の中で長く止め続けないようにします。
Lも常に同じ音色ではありません。語や音節の位置、方言によって、舌の奥の動きが加わった暗いLなどが現れます。語頭のlightと語末の別の語を比べて違って聞こえても、すぐに片方を間違いと決めないでください。最初は同じ位置のL同士を比べると整理しやすくなります。
Rは「舌を巻く」だけが正解ではない
英語のRでは、Lのように舌先で歯茎に同じ接触を作ることを目指しません。舌先をやや後方へ向ける形のほか、舌の前部を盛り上げる形など、異なる舌の構えでRが作られます。
研究でも、舌先を反らせる形と、舌を盛り上げる形が扱われています。したがって、舌先を強く巻けないからRが出せないとは限りません。一つの形に固執するより、接触を避けつつ、基準音声に近い響きを探すことが出発点になります。
唇が少し丸くなる話者もいますが、唇だけでRとLを作り分けるものではありません。鏡は外から見える動きの確認には使えても、舌の奥や音そのものをすべて判定できません。聞こえる音と録音での比較も合わせて使いましょう。
なお、英語のrは方言によって、母音の後や語末で発音されるかどうかが変わります。今回の10組は、語頭や母音の前などのR/Lを中心にしています。「英語のRはどの位置でも必ず同じように発音する」と一般化しないでください。
01
Lの接触
舌先付近が歯茎に触れ、側面へ空気が流れる
02
Rの構え
舌の形には複数の作り方がある
03
音声を比較
同じ地域の発音を一組ずつ聞く
04
意味と結ぶ
単語の意味を確認して短文にする

ミニマルペア10組:意味を確認してから音を比べる
以下の10組をすべて一度に仕上げる必要はありません。一組ずつ辞書の同じ地域の音声を選び、母音やアクセントも含めて比べます。日本語の読み仮名は付けず、英語の音を直接確認してください。
1.light / right
lightは「光・明かり」、rightは「右・正しい」などの意味です。まず語頭の違いを確認します。自作例はTurn right at the light.「その信号で右に曲がってください」。rightとlightの両方を含むので、どちらが方向で、どちらが目印かも確かめましょう。
2.lead / read
ここではleadを「導く」の/liːd/、readを現在形の「読む」/riːd/として使います。leadには別の読みと意味があり、readも過去形では読みが変わるため、意味と時制を指定します。自作例はPlease read the first line.「最初の行を読んでください」。
3.lock / rock
lockは「鍵を掛ける・錠」、rockは「岩」などです。母音には地域差がありますが、同じ話者の一組で語頭を比べます。自作例はPlease lock the door.「ドアに鍵を掛けてください」。語末の/k/まで含めて語を保ち、Lだけを長く練習して終わらないようにします。
4.lake / rake
lakeは「湖」、rakeは「熊手」です。rakeの意味が初めてなら、道具の絵や日本語で意味を理解してから音へ進みます。自作例はThe lake is quiet.「その湖は静かです」。知らない語の記憶と、R/Lの聞き分けを混同しないことが大切です。
5.late / rate
lateは「遅い・遅れて」、rateは「率・料金」などです。自作例はThe bus is late.ザ バス イズ レイト「バスが遅れています」。母音と語末が共通する一組なので、語頭に注意を向けやすくなります。ただし、聞く前につづりを見続けず、音だけでも選ぶ練習を入れましょう。
6.load / road
loadは「荷物・積む」、roadは「道路」です。自作例はThis road is narrow.「この道は狭いです」。語頭を確かめた後は、語末/d/に余計な母音を足していないかも別の機会に見直せます。一度の録音で直す対象は一つに絞って構いません。
7.glass / grass
glassは「ガラス・グラス」、grassは「草」です。どちらも/g/に続くL/Rを比べます。自作例はPlease stay off the grass.「芝生に入らないでください」。/g/の後に日本語の母音を一拍足しすぎず、子音の連なりとして練習します。
8.fly / fry
flyは「飛ぶ」、fryは「油で焼く・揚げる」などです。/f/の後のL/Rが違います。自作例はWe fry the fish in a pan.「私たちはその魚をフライパンで焼きます」。まず/f/の形を作り、その後の舌の接触の有無を確かめましょう。
9.alive / arrive
aliveは「生きている」、arriveは「到着する」です。語の途中のL/Rを比べます。自作例はWe arrive at noon.「私たちは正午に到着します」。語頭だけを練習していた場合は、強勢のある音節への入り方にも注意を向けられます。
10.collect / correct
collectは「集める」、correctは「正しい・訂正する」です。ここでは同じ発音体系で、/l/と/r/が違う組として比べます。自作例はPlease correct this sentence.「この文を訂正してください」。語が長く感じるなら、意味と強勢を確認し、一語ずつ練習してから文に戻ります。
聞き分けは、細部を試した後に答えを見る
一人で練習するなら、一組の辞書音声をそれぞれ聞いた後、つづりを隠して再生し、LかRかを選びます。ただし、自分で再生ボタンを押すと答えや順番を覚えやすいため、厳密なテストとは分けて考えてください。
協力者がいる場合は、二語のうち一方の対応音声を、選んだ語が見えない形で再生してもらえます。まず一度選び、不確かならもう一度聞いて音の細部を確かめ、それから答えを確認します。音声を別の語へ流用しないことが前提です。
答え合わせ後は、選び間違えた音声ともう一方を交互に聞きます。「Lがはじく音に聞こえた」「Rの響きが分からなかった」など、迷った理由を短く残します。母音など別の部分が不確かなら、そこも辞書で確かめましょう。
同じ組を順番通りに聞き続けるだけでなく、時間を空け、答えを隠して思い出す練習も入れます。繰り返すこと自体を避ける必要はありません。順番の記憶だけで選べていないかを確認してください。
意味と構造を確かめる確認問題
以下は音声のない、意味の確認問題です。括弧から適切な語を選び、答えを隠して試してください。
- Turn(light / right)at the next street.「次の通りで右に曲がって」
- Please(lead / read)this email.「このメールを読んで」
- Don’t walk on the(glass / grass).「芝生の上を歩かないで」
- We(alive / arrive)at ten.「私たちは10時に到着する」
- Please(collect / correct)my mistake.「私の間違いを直して」
答え: 1はright、2はread、3はgrass、4はarrive、5はcorrectです。4ではaliveが形容詞、arriveが動詞という違いも確認できます。意味の問題で正解しても、聞き分けが完成したとは限りません。次は選んだ語の対応音声を聞き、発音と意味をつなげましょう。
話す練習では、日本語で伝えたい意図を短く整理します。「10時に着く」と簡単にしてからWe arrive at ten.へ進み、arriveのRに注意を向けます。最初から複雑な英文を作って発音も同時に直す必要はありません。
練習記録には「lightとrightを比べ、Lでは舌先の接触を確かめた」のように、試した組と動きを一つ書きます。次回は記録を隠して違いを説明し、同じ音声を聞いて確かめましょう。単語の意味も忘れていたら、発音と一緒に思い出します。音の形だけを反復するより、何を伝える語なのかと結び付けて取り組めます。

混同の記録から、次に練習する一組を選ぶ
10組を練習するときは、一覧の右に「意味」「音の違い」「発音」の三つの欄を作れます。例えばlakeとrakeの意味が曖昧なら、まず単語を思い出す練習をします。意味は分かるが辞書の音声を続けて聞くと迷うなら、聞き比べを一つの課題にします。聞けば区別できても自分の録音が似ているなら、舌の接触を比較します。
この記録は能力を一つの点数で決めるためのものではありません。意味を知らなかったために答えられない場合と、音を区別できなかった場合を分けると、次にする練習を選べます。音声の再生順を知ったまま答えた場合も、そのことを記録してください。正しい順番を覚えたことと、聞き分けられたことは同じではありません。
翌回は、前に迷った一組から始めます。単語の意味を答えを隠して思い出し、音声を比較し、その後に自分でも交互に発音します。一度分かった組も、ときどき短文の中で確かめましょう。全組を同じ回数だけこなすより、残っている課題に合わせて量を調整できます。
よくある質問
舌を巻けないとRは出せませんか?
Rには複数の舌の形があります。強く巻くことにこだわらず、同じ地域の基準音声と比べてください。自分で判定しにくければ、発音を確認できる指導者に見てもらう方法もあります。
Lは舌を一瞬はじけばよいですか?
それだけで覚えないでください。基本の練習では歯茎付近への接触と、横へ流れる空気を確認します。日本語のラ行の弾き音を、そのまま英語のLと同一視しないことが大切です。
発音できれば必ず聞き分けられますか?
口の動きの理解は手がかりになりますが、必ず聞き分けられるとは限りません。実際の音声の比較も続けましょう。聞ける語と話せる語を分けて記録すると、次の練習を選びやすくなります。
10組すべてを毎日やる必要がありますか?
ありません。苦手な一組を選び、意味の確認、音声の比較、録音の順に進めても構いません。正答率だけでなく、どこに迷うかを見て練習量を調整してください。
参考にした発音資料
- Catherine Anderson:Essentials of Linguistics(子音の調音方法)
- Takayuki Arai:Vocal-tract models for /r/(複数のRの舌の形)
- Cambridge Dictionary:lightの発音
- Cambridge Dictionary:rightの発音
まとめ:舌の動きと、聞こえる音を対応させる
RとLは、日本語のラ行の一つの動きにまとめず、接触と空気の流れの違いから練習しましょう。Rの形やLの音色には違いがあることも踏まえ、一組ずつ同じ地域の音声を比較します。意味を理解し、音を試してから答えを確認し、短い文で伝えるところまでつなげてください。
01
意味を確認
10組から一組を選び意味を整理
02
まず音を試す
答えを隠して聞き、その後確認
03
交互に発音
接触の違いを力まず比較する
04
一文で伝える
録音を比べ、次の課題を一つ残す
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